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自閉症:デジタル行動表現型解析を使用した自閉症の早期発見
Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02574-3
自閉症は、社会的コミュニケーションに課題を伴う神経発達疾患で、早期発見ができれば、適時な介入の利用が確保される。自閉症スクリーニンの質問票は、プライマリーケアなどの現実の環境で使用される場合には、調査研究での使用と比較して、特に有色の小児や女児に対して精度が低いことが示されている。本報告では、小児科健診の際に、475人(生後17〜36カ月)の幼児(男児269人と女児206人)を対象に実施されたデジタルアプリケーション(アプリ)を用いた自閉症スクリーニングについて、その精度を評価する多施設前向き研究の成果を報告する。このスクリーニングでは、49人が自閉症と診断され、98人が自閉症を伴わない発達遅延と診断された。このアプリは、自閉症の行動徴候を引き出すような刺激をディスプレイに表示し、コンピュータービジョンと機械学習を使用して定量化を行うものである。複数のデジタル表現型を組み合わせたアルゴリズムは、受信者動作特性曲線下面積 = 0.90、感度 = 87.8%、特異度 = 80.8%、陰性的中率 = 97.8%、陽性的中率 = 40.6%という高い診断精度を示した。このアルゴリズムは、性別、人種、民族によって定義されるサブグループ間で同様の感度性能を示した。これらの結果は、デジタル表現型解析が、現実の環境で自閉症スクリーニングに客観的かつ拡張性のある手法を提供する可能性を実証している。また、デジタル表現型解析と保護者へのアンケートの結果を組み合わせれば、自閉症スクリーニングの精度がさらに向上し、診断と介入の機会に見られる格差を縮小させるのに役立つ可能性がある。