Article

神経補綴:パーキンソン病による歩行機能障害の治療としての脊髄神経補綴

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02584-1

後期パーキンソン病(PD)患者は、現在利用可能な治療法に抵抗性の衰弱性歩行機能障害にしばしば悩まされる。これらの機能障害を緩和するために、我々は、歩行中における腰仙髄の自然な時空間的活性化を再現することを目的として、腰仙部を神経支配する後根進入部を標的に閉ループで作動する神経補綴装置を開発した。我々はまず、PDによる歩行機能障害を再現する非ヒト霊長類モデルにおいて、同原理で作動する神経補綴装置を開発した。この装置は、同モデルにおいて歩行機能障害を軽減するだけでなく、滑らかな歩行を回復した。次に我々は、現在利用可能な治療法に抵抗性を示し、重度歩行障害と頻繁な転倒を呈する、PD歴30年の62歳男性に、同神経補綴装置の埋め込みを実施した。その結果、神経補綴装置が視床下核の深部脳刺激およびドーパミン補充療法と相乗的に相互作用し、非対称性を緩和して歩幅をより長くし、バランスを改善し、すくみ足歩行を軽減することを発見した。本神経補綴装置は、PD患者の歩行機能障害の重症度を軽減するための新たな展望を切り開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度