Review Article
参加型アクションリサーチ:共創による先住民の人々との医学研究
Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02588-x
参加型方法論は過去50年にわたって進化してきており、健康に関する研究の共創(coproduction)は、この分野における重要な進歩である。共同で行うこうした手法への移行では、学術研究者とそのパートナーとの共同管理が重視されており、研究過程に対する影響のバランス改善が促されている。この移行は、研究の質と得られる証拠を向上させるだけでなく、実装成功の可能性も高める。先住民の人々にとっては、共創型研究は重要な進歩であり、研究の単なる「被験者」から、この過程の積極的な管理者への移行が可能になる。これには、過去に行われた搾取的で抑圧的な慣行が配慮されることも含まれる。本総説では、先住民の人々との共創型研究がどのように発展しているかを探る。「先住民族型への転換(Indigenous turn)」は、共同管理の考え方を採用すると同時に、互恵性の原則、欧米と先住民族の知識体系間の通約不可能性、倫理基準の相違および戦略的・政治的な差異、そして研究の過程と結果に対する広範な影響をも考慮している。これらの考え方を説明するために、ニュージーランドのマオリ族コミュニティーに関わる例を紹介し、さらなる進展のための推奨事項を示す。