視覚障害・聴覚障害:All of Us Research Programでは視覚障害者や聴覚障害者の参加者の割合が一般集団より少ない
Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02607-x
視覚障害者や聴覚障害者は大きな集団を構成しているが、しばしば健康格差を経験している。また、少数派のジェンダー、人種あるいは民族のコミュニティー、または社会経済的地位が低いコミュニティーに属する人は、一般的に複合的な健康不平等を経験している。これらの集団を精密医療研究に組み入れることは、こういった人々が科学的な恩恵を享受するために重要である。今回、All of Us Research Program(AoURP)2018-2023コホートにおける電子健康記録の提供済み参加者のうち、視覚障害者や聴覚障害者が占める割合を算定して、米国疾病管理予防センター(CDC)の2018年次国内推計値と比較し、主要な人口統計学的特徴とインターセクショナリティーを明らかにした。AoURPコホートに占める視覚障害者や聴覚障害者の割合は、国内推計値よりも低く、特に労働年齢の成人(65歳未満)、アジア人、多数の祖先系にルーツを持つ参加者における割合が顕著に低かった。分析によると、少数派である複数の集団(すなわち、人種的または民族的なマイノリティー、女性、低学歴、低所得)に参加者が属していると、含まれる視覚障害者や聴覚障害者の割合が複合的に低くなることが判明し、労働年齢の視覚障害者のうち最も実質的に少数派であるのは、黒人またはアフリカ系米国人の女性で教育レベルが高校未満であることが明らかになった(同じ集団の国内の有病率の5分の1)。AoURPでは参加している視覚障害者や聴覚障害者の割合が少ないと考えられるため、これらのデータを用いる研究から得られた知見の一般化可能性への懸念や、既に十分なサービスを受けていないこれらの集団への恩恵が制限されるという懸念が浮かび上がる。