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子宮頸がん:HIVと共に生きる女性における子宮頸がんスクリーニング、トリアージ、治療戦略の有益性と有害性

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02601-3

世界保健機構(WHO)は、公衆衛生上の課題として子宮頸がんを撲滅する戦略を支援するため、2021年に子宮頸部の前がん病変のスクリーニングと治療についてのガイドラインを見直した。HIVと共に生きる女性は、一般集団の女性と比べて子宮頸がんのリスクが6倍であり、我々はモデルプラットフォーム(「Policy1-Cervix-HIV」)を活用して、HIVが風土病(エンデミック)となっている国であるタンザニアにおいて、HIVと共に生きる女性のためのさまざまなスクリーニング戦略の有益性と有害性について評価した。スクリーニング受診率を70%と仮定すると、一次スクリーニングとしての、トリアージなしの3年ごとのヒトパピローマウイルス(HPV)検査は、子宮頸がんの年齢調整死亡率を72%減少させ、子宮頸がんによる死亡を防ぐための治療必要数(NNT)は38.7であることが明らかとなった。さらに、治療前にHPV陽性の女性をトリアージすることで有効性の欠如が最小になり、NNTが向上した(19.7〜33.0)。一次スクリーニングに、酢酸による頸部視診(VIA)あるいは細胞診を用いた場合は、HPV検査を用いる場合より有効性が劣っており、VIAの場合、NNTははるかに大きい107.5になった。WHOは2021年に、HIVと共に生きる女性を対象にした一次スクリーニングとして、HPV検査を25歳から始めて、3~5年ごとに定期的に行うことを推奨する「スクリーニング・トリアージ・治療」戦略を示した。今回の知見は、この2021年のWHOの提言を支持している。

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