Year in Review

2024年の医療を方向付ける11の臨床試験

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02699-5

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)以後、期待される生物医学研究を予測することは簡単でないが、2024年の医療を方向付ける臨床試験について、11人の専門家に話を聞いた。それによると、まず、DNA塩基編集療法が、初めて家族性高コレステロール血症の患者に対して行われる。さらに、人工知能(AI)の適用について、肺がんの診断までの期間短縮効果や、患者のトリアージへの効果が検証されることになる。一方、アプリを使った周産期うつ病の治療効果が試験され、医療格差の是正に期待が寄せられる。強力な持続的T細胞応答を誘導するHIVワクチンや、長期の効果持続が期待できるR21マラリアワクチン、悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント療法の効果、CTによる肺がん検診の有効性、抗体薬物複合体(ADC)の頭蓋内活性を調べる試験も行われる。パーキンソン病患者でヒト胚性幹細胞治療が初めて検証されるが、これは、この病気の中等症の臨床試験である点からも貴重である。0〜5歳の子どもたちのメンタルヘルス介入モデルの試験が実施され、虐待を受けた子どもたちに対する支援策が大きく改善されるだろう。

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