Review Article
COVID-19:併存疾患、多疾患罹患とCOVID-19
Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02156-9
併存疾患が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の転帰に及ぼす影響は、パンデミック(世界的大流行)の最初期から認識されてきた。しかし、因果関係の立証、また基盤となる機構や臨床的な重要性の解明は、多くの交絡因子や患者の多様性のために難しかった。COVID-19の3つの異なる段階、すなわち初期のウイルス複製の段階から、炎症性肺傷害、さらに急性期後後遺症での健康転帰を決定しているのは、全ての患者で働くとは限らない複数の別個の病理学的機構である。特定の併存疾患(および全般的な多疾患罹患)は、このような病理学的機構を悪化させたり、臓器障害に対する患者の耐性を低下させたりする可能性がある。本稿では、特定の併存疾患に加えて、全般的な多臓器罹患がCOVID-19の機構的に異なる3つの段階に及ぼす影響について考察し、さらに交絡の多くの原因を排除することによって、宿主の遺伝学的形質を因果推論へのルートとして用いることの有用性について論じる。疾患と病態の間の相互作用の機構についての研究を継続することは重要であり、治療への取り組みの層別化に役立ち、また患者の転帰を改善すると考えられる。