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大腸がん:BRAFV600E大腸がんでのPD-1阻害、BRAF阻害、MEK阻害の3剤併用療法 ─ 第2相試験
Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02181-8
BRAFV600E大腸がん(CRC)では、EGFR阻害剤やMEK阻害剤とBRAF阻害剤を併用すると有効性が向上するが、奏効率は低いままで持続性がない。前臨床データでは、BRAF/MAPK経路の阻害が腫瘍の免疫応答を増強する可能性が示唆されている。本論文では、BRAFV600E CRCの患者37人に対して行われた、抗PD-1抗体スパルタリズマブ(PDR001)、BRAF阻害剤ダブラフェニブおよびMEK阻害剤トラメチニブの3剤併用療法の、実証実験としての単群第2相臨床試験について報告する。主要評価項目は全奏効率であり、副次評価項目は、無増悪生存期間、病勢コントロール率、奏効期間、全生存期間であった。この試験は主要評価項目を達成し、奏効率(全患者では24.3%、マイクロサテライト安定患者では25%)と持続性は、BRAFを標的とする薬剤の併用のみの既存対照よりも良好であることが確認された。治療前と治療開始15日目の腫瘍生検23組の単一細胞RNA塩基配列解読から、臨床転帰が良好な患者では腫瘍細胞の内因性免疫プログラムの誘導がより大きく、MAPK経路阻害がより大幅に阻害されていることが明らかになった。対応する患者由来のオルガノイドでの免疫プログラムの誘導は、MAPK阻害の程度と相関していた。これらのデータは、MAPK阻害と免疫応答の間に腫瘍細胞に内在する協調機構がある可能性を示唆しており、CRCでの標的薬と免疫治療薬の最適な併用療法についてさらなる臨床的評価が求められる。ClinicalTrials.gov 登録番号:NCT03668431。