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パキスタンにおける女性の健康のために遠隔医療の利用
Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02204-y
パキスタンでは、主に農村部や都市のスラムなどで、電話やスマートフォンアプリを使った女性のヘルスケアのための活動が行われている。この国では、金銭的な問題やオンラインヘルスサービスへのアクセスの困難さなどから多くの女性が安全でない非合法の中絶に頼り、時には致命的な結果を招くこともある。そこで2020年に、非営利団体IPASが、地元の遠隔医療プラットフォームと提携し、無料で避妊や安全な中絶などの婦人科医療サービスを提供する遠隔医療モデルを導入した。女性ヘルスワーカーがこの取り組みの中心となり、女性と医師をオンラインでつなぐ仲介役を務めている。医療従事者たちにとっても、遠隔医療サービスは仕事に欠かせないものになっているようだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中にも、このアプリによって、中絶、避妊、不妊手術などのために患者とバーチャルでやりとりできたという。遠隔医療サービスは、高い水準の医療を維持するのに役立ち、インターネットを利用できないための情報格差、いわゆるデジタルデバイドに直面している他の開発途上国でも同様の取り組みができる可能性が大きいと考えられる。