Brief Communication
COVID-19:変異株対応型COVID-19ワクチンブースターの有効性の予測
Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02228-4
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のためのブースターワクチン接種は、減弱する免疫や新たな重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)変異株の広がりによって防御が失われるのを抑えるために必要である。祖先株をベースとする既存のワクチンや新規変異株に対応した修飾型ワクチンの投与が持つとされる、多様な変異株に対する免疫をブーストする能力は複数の研究で評価されてきており、重要な問題はこれらのさまざまな対処法の相対的な利点の評価である。我々は、祖先株をベースとする現行のワクチン、もしくは変異株対応ワクチンによるブースターワクチン接種を比較した14件の報告(公表論文3報、査読前論文8報、プレスリリース2報、アドバイザリー委員会の会議メモ1つ)から中和力価に関するデータを集めた。これらのデータを用いて、多様なワクチン接種レジメンの免疫原性を比較し、ブースターワクチンのさまざまなシナリオでの相対的な防御を予測した。祖先株をベースとするワクチンによるブーストは、SARS-CoV-2ウイルス変異株による症候性感染と重症疾患の両方に対する予防力を顕著に高めると予測された。だが、変異株対応ワクチンは、流行中の変異株と一致していなくても、さらなる防御を誘導する可能性がある。この研究によって、今後のSARS-CoV-2ワクチンレジメンの選定に役立つ、証拠に基づく枠組みが得られた。