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COVID-19:中国の高齢者でのCOVID-19ワクチン接種状況と忌避の決定因子

Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02241-7

ワクチン接種は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する主要な防御手段であり、高齢者や慢性疾患のある場合にはとりわけ重要である。「中国における健康および定年退職の縦断的研究(CHARLS)」が持つ、コロナ流行第5波(2021〜2022)からの1万2900人の参加者からなる、国全体を代表するとされるサンプルを用いて、我々は52歳以上の中国人成人での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種状況とワクチン忌避の決定因子について調べた。2022年7月/8月までに、60歳以上の中国人人口の92.3%が、少なくとも1回のCOVID-19ワクチン接種を受け、88.6%は第一回目の接種シリーズを、また72.4%はブースター接種を完了した。80歳以上ではワクチン接種率がより低く、71.9%が第一回目の接種シリーズを、46.7%がブースター接種を完了した。これらの統計結果は、中国でワクチン接種が2022年7月/8月から11月の間に低調となったために2022年11月にゼロコロナ政策を終了する前の状況を示している。多変量回帰分析によって、最高齢のグループ(70歳以上、80歳以上が特に多い)所属者と女性および未婚者、都市部在住者、機能依存性や慢性疾患の保有者に属する場合は、COVID-19ワクチンを受ける可能性が低いと考えられることが明らかとなった。我々の回帰分析の結果は、ワクチン未接種についての自己報告された理由によって確認された。ワクチン忌避はおそらく、中国がゼロコロナ政策を中止した後に見られた、感染被害を受けやすい集団での非常に高い死亡率の一因であったと考えられる。我々の研究は、感染封じ込め対策とワクチン接種および治療手段とのバランスをどのようにして取るのかについての重要な教訓を示しており、また早い時期にワクチンの副作用や禁忌についてはっきり示すことの必要性を明らかにしている。

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