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エリスロポエチン:エリスロポエチン産生細胞の転写と制御のアイデンティティー

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02314-7

エリスロポエチン(Epo)は、赤血球産生と体内酸素レベルの恒常性維持の主要制御因子である。その生理学的重要性にもかかわらず、腎臓でのEpo産生に関与する細胞の分子的およびゲノム的背景は不明であり、より効果的な貧血治療法開発を制限している。今回、Epoレポーターマウスを対象に、一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)およびATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin-seq)を行い、低酸素条件下でEpo産生を担っている細胞を分子レベルで明らかにした。我々のデータにより、マウス腎臓から分泌されるEpoの主要な産生源は、腎臓間質に含まれる明確に区別される特徴を持つ細胞集団であることが分かり、我々はこの細胞集団をNorn細胞と命名した。これらのデータセットを用いて、Norn細胞に特徴的なマーカー、シグナル伝達経路、転写回路を特定した。また、ヒトの腎臓組織においてscRNA-seqとRNA in situハイブリダイゼーションを行い、こうした細胞集団がヒトでも保存されているという証拠を示す。上記の予備的な知見は、健常者および患者におけるEPO遺伝子の制御を機能的に解明する新たな道を開き、赤血球造血刺激療法の改善に向けての基礎固めになると考える。

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