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マイクロバイオーム:進行性黒色腫に対する糞便微生物相移植と抗PD-1免疫療法 ― 第1相試験

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02453-x

糞便微生物相移植(FMT)は、難治性黒色腫患者において免疫チェックポイント阻害剤への抵抗性を克服する可能性のある戦略であるが、一次治療としてのFMTの役割はこれまで評価されていなかった。我々は、未治療の進行黒色腫患者20人を対象に、健康なドナーのFMTとPD-1阻害剤ニボルマブまたはペムブロリズマブを併用する多施設共同第1相試験を実施した。主要評価項目は安全性であった。FMT単独ではグレード3の有害事象は全く報告されなかった。併用療法では5人の患者(25%)にグレード3の免疫関連有害事象が観察された。主要な副次評価項目は、客観的奏効率、腸内マイクロバイオーム組成の変化、および全身性の免疫プロファイルとメタボロミクスの解析であった。客観的奏効率は65%(20人中13人)であり、完全奏効が4人(20%)含まれていた。マイクロバイオームの縦断的なプロファイリングにより、全ての患者にそれぞれのドナー由来の菌株が生着していることが明らかになったが、ドナーと患者のマイクロバイオーム間に獲得された類似性は、応答者においてのみ経時的に増加した。FMT後に応答者では、免疫原性細菌の増加と有害細菌の減少が認められた。抗PD-1効果増大における健康なドナーの糞便の役割は、アバターマウスモデルにより確認された。我々の結果は、健康なドナーのFMTが一次治療として安全であり、免疫チェックポイント阻害剤との併用に関するさらなる研究を行うことの根拠となる。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03772899。

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