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自己免疫性疾患:難治性ループス腎炎に対するダラツムマブ単剤療法

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02479-1

治療抵抗性のループス腎炎(LN)は予後不良のリスクが高く、しばしば生命を脅かす。本論文では、年齢中央値が41.3歳(20〜61歳)である、難治性LN患者6人(男性1人、女性5人)の症例集積研究を報告する。患者は腎生検と、その後、抗CD38モノクローナル抗体であるダラツムマブの静脈内投与(週1回を8週間、その後隔週投与を8回、月1回の投与を8回まで)を受けた。1人の患者では、治療開始後6カ月の時点で改善が認められず、ダラツムマブ投与を中止した。5人の患者では、SLEDAI-2K(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity 2000 index:全身性エリテマトーデスの疾患活動性の(評価)指標2000年改訂)により評価した平均の疾患活動性は、治療前の10.8から治療開始後12カ月で3.6まで低下した。さらに、治療開始後12カ月では、平均タンパク尿(治療前の24時間当たり5.6 gから0.8 g)と平均血清クレアチニン値(治療前の2.3 mg dl−1から1.5 mg dl−1)も減少していた。臨床症状の改善は、抗二本鎖DNA抗体のセロコンバージョンを伴っており、インターフェロンγレベルの中央値の低下、B細胞成熟抗原の減少、可溶性CD163レベルの低下、およびC4の増加やインターロイキン10レベルの上昇が見られた。これらのデータは、ダラツムマブ単剤療法が難治性LNに対する有望な治療法としてさらに検討されるべきことを示唆している。

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