心血管疾患:トリグリセリドおよびコレステロールを低下させるためのANGPTL3を標的としたRNA干渉 ─ 第1相バスケット試験コホート
Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02494-2
トリグリセリドと非高密度リポタンパク質コレステロール(non-HDL-C)の上昇は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク因子である。ARO-ANG3は、リポタンパク質代謝の調節因子であるANGPTL3(angiopoietin-like protein 3)を標的とするRNA干渉療法である。このヒト初回投与(first-in-human)第1相無作為化プラセボ対照非盲検試験では、バスケット試験の一環として、健康な参加者52人からなる4つのコホートと、肝臓脂肪症の参加者9人からなる1つのコホートにおいて、ARO-ANG3の単回投与および反復投与を検討した。ARO-ANG3の安全性(主要評価項目)、薬物動態(健康な参加者)、薬力学(副次評価項目)の評価を行った。ARO-ANG3は全体的に忍容性が良好であり、治療により発現した有害事象の頻度は、投与群とプラセボ群で同等だった。健康な参加者でのARO-ANG3の全身吸収は迅速かつ持続的で、平均Tmaxは6.0〜10.5時間であり、投与後に血漿からは24~48時間以内に消失し、平均t1/2は3.9~6.6時間だった。健康な参加者では、ARO-ANG3治療により、投与後85日目のANGPTL3が低下していた(平均−45%から−78%)。投与量の多い3つでは、トリグリセリド濃度の低下(中央値−34%から−54%)とnon-HDL-C濃度の低下(平均−18%から−29%)(探索的評価項目)が見られた。これらの初期段階のデータは、ANGPTL3がASCVD治療の治療標的となり得ることを支持している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03747224。