Review Article
アルツハイマー病:アルツハイマー病の新たに登場している診断法と治療法
Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02505-2
アルツハイマー病(AD)は、認知症の世界で最も一般的な原因であるが、病気の進行を遅らせたり、予防したりする戦略は、最近までほとんど見つかっていなかった。この総説では、ADの診断と治療を改善するためのバイオマーカー技術および治療法開発における最新の進歩に焦点を合わせる。特に、疾患の発症機序におけるアミロイド、タウ、神経炎症の役割に重点を置いて、神経画像化と体液バイオマーカーによってADの病理学的ステージ分類を行う最近の結果を概説する。また、無作為化比較試験から得られた知見を議論し、ある種の抗アミロイド抗体がADの軽度症状発現段階にある患者の認知機能低下を遅らせるという主張を裏付ける知見などを扱う。さらに、ADの病因や進行を修飾できる可能性のある治療標的が新たに特定された証拠を明らかにする。まとめると、これらの最近の発見、およびその知見が切り拓く研究の方向性は、ADの医学的ケアを、患者に最大限の利益をもたらす疾患修飾療法の戦略へと導く可能性を秘めたものである。