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抗生物質:小児の外来診療で抗生物質処方の指針となる医療用デジタルアルゴリズム ─ クラスター無作為化対照試験
Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02633-9
抗生物質の過剰使用と抗菌剤への抵抗性は、世界的に公衆衛生上の主要な脅威となっている。今回我々は、急性疾患の15歳未満児の管理における医療従事者の指針となるように、ePOCT+を開発した。これは、臨床意思決定支援デジタルアルゴリズをC反応性タンパク質検査、ヘモグロビン検査、パルスオキシメーター、メンターシップと組み合わせて使うアプローチである。我々は、ePOCT+の効果を通常の治療と比較して評価するために、タンザニアのプライマリーケア施設でクラスター無作為化対照試験を実施した。11カ月にわたり、ePOCT+を用いる20医療施設での2万3593回の診療と、通常の診療を行う20医療施設での2万713回の診療がこの試験に組み込まれた。ePOCT+を用いる介入を行った施設では、通常の診療を行った施設と比較して、共主要評価項目である抗生物質の処方が減少した(23.2%対70.1%、補正した差−46.4%、95%信頼区間〔CI〕−57.6~−35.2)。共主要評価項目である7日目での臨床的失敗率は、ePOCT+を用いる施設では通常の治療を行った施設と比べて非劣性だった(補正した相対リスク0.97、95%CI 0.85~1.10)。7日目までの死亡と紹介のない二次的な入院という、安全性についての副次評価項目に差は見られなかった。ePOCT+の使用は、抗生物質の処方を安全に減らすことで、抗菌剤抵抗性という喫緊の課題に対処するのに役立つ可能性がある。Clinicaltrials.gov登録番号:NCT05144763。