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前立腺がん:HRR欠損転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした一次治療としてのタラゾパリブとエンザルタミドの併用 ─ 第3相TALAPRO-2試験

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02704-x

前臨床での科学的根拠から、前立腺がん細胞の増殖に中心的な役割を果たすアンドロゲン受容体と、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)との間の相互作用が示唆されている。この関連は、医療ニーズが満たされていない領域である転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の治療において、これらの阻害剤を併用する論理的根拠となる。第3相TALAPRO-2試験では、mCRPCの一次治療として、PARP阻害剤タラゾパリブとアンドロゲン受容体拮抗薬エンザルタミドの併用と、エンザルタミド単剤投与とを比較検討した。患者は、相同組換え修復(HRR)に関与するDNA損傷応答遺伝子変異の有無を腫瘍であらかじめ評価され、2つのコホートに順次登録された。つまり、まず全員参加コホートへの登録が行われ(コホート1、N = 805〔169人がHRR欠損〕)、その後にHRR欠損のみのコホートへの登録が行われた(コホート2、N = 230)。本論文では、これらのコホートのHRR欠損患者を合わせた集団(N = 399)において、アルファ値制御での主解析の結果を示す。患者は、タラゾパリブとエンザルタミドの併用投与群、またはプラセボとエンザルタミド投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目は放射線画像診断に基づく無増悪生存期間であり、これは達成された(タラゾパリブ併用投与群は解析時点で未到達であるのに対し、プラセボ投与群では中央値13.8カ月であった。ハザード比0.45、95%信頼区間0.33~0.61、P < 0.0001)。主な副次評価項目である全生存期間のデータ収集は継続中であるが、タラゾパリブ併用投与群の方が優れていた(ハザード比0.69、95%信頼区間0.46~1.03、P = 0.07)。タラゾパリブ併用投与群での一般的な有害事象は、貧血、倦怠感、好中球減少症であった。タラゾパリブとエンザルタミドの併用により、HRR遺伝子に変化があるmCRPC患者において放射線画像診断に基づく無増悪生存期間が有意に改善されたことから、タラゾパリブとエンザルタミドの併用がこれらの患者への有望な一次治療になることが裏付けられた。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03395197。

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