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住血吸虫症:アフリカの住血吸虫症小児における抗マラリア薬のアーテスネート–メフロキン併用とプラジカンテルの比較 ─ 非盲検無作為化対照試験

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02719-4

住血吸虫症の治療は、プラジカンテルという唯一の薬剤に完全に依存しているため、代替療法の研究が進められている。今回我々は、概念実証のための実用的な非盲検無作為化対照試験において、住血吸虫症が風土病(エンデミック)であるセネガル北部の6つの村の小学校で、住血吸虫症治療としての抗マラリア薬であるアーテスネート–メフロキン併用の有効性と安全性を評価した。顕微鏡検査で尿中および/または便中に住血吸虫(Schistosoma属)の卵が検出された小児(6〜14歳)を適格とした。合計で726人の小児が、プラジカンテル群(標準治療:40 mg kg−1単回投与、n = 364)またはアーテスネート–メフロキン併用群(抗マラリア薬としての用量:アーテスネート4 mg kg−1およびメフロキン 8 mg kg−1の毎日投与を連続3日間、n = 362)に1:1に無作為に割り付けられた。組み入れ基準を満たさなかった小児8人は、有効性解析から除外した。残りの参加者718人の年齢中央値は9歳で、399人(55.6%)は男児、319人(44.4%)は女児だった。このうちの99.3%はビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)、15.2%はマンソン住血吸虫(S. mansoni)に感染していた。主要評価項目は、顕微鏡検査で評価した治癒率と、薬剤関連有害事象の頻度で、治療後4週目の時点でアーテスネート–メフロキン併用群とプラジカンテル群を比較した。治癒率はアーテスネート–メフロキン併用群では59.6%(208/349)、プラジカンテル群では62.1%(211/340)だった。その差は−2.5%(95%信頼区間〔CI〕−9.8〜4.8)であり、事前に指定した非劣性基準を満たした(非劣性マージンは10%に設定)。薬剤関連有害事象はいずれも軽度または中等度であり、アーテスネート–メフロキンを投与された小児では361人中28人(7.8%、95%CI 5.4~11.0)、プラジカンテルを投与された小児では363人中8人(2.2%、95%CI 1.1〜4.3)で報告された(P < 0.001)。抗マラリア薬としての用量でのアーテスネート–メフロキン併用は、安全性が中等度であり、(主にビルハルツ住血吸虫による)住血吸虫症を対象とした場合、標準治療であるプラジカンテルに対して非劣性だった。これらの知見を確認するためには、さまざまな集団や疫学環境での多施設試験を行う必要がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03893097。

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