白血病:リヒター形質転換に対するチスレリズマブとザヌブルチニブの併用 ─ 第2相RT1試験
Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02722-9
慢性リンパ球性白血病患者において、リヒター形質転換(RT)は、化学療法への反応性の悪さや生存期間の短さと関連する侵襲性の高いリンパ腫への進展を反映している。我々は、国際的な、医師主導型前向き非盲検第2相試験を開始させ、この試験でRT患者は、PD-1阻害剤であるチスレリズマブとBTK阻害剤であるザヌブルチニブの併用を12サイクル投与された。治療に奏効を示した患者は、両薬剤による維持療法を受けた。主要評価項目は、6サイクル後の全奏効率であった。59人の登録患者のうち48人は、研究プロトコルに従って少なくとも2サイクルの治療を受け、解析対象集団となった。観察期間の中央値は13.9カ月で、年齢の中央値は67歳(範囲は45〜82歳)であった。10人の患者(20.8%)は、過去にRTに対する治療を受けていた。全体で48人中28人の患者が導入療法に応答し、全奏効率は58.3%(95%信頼区間〔CI〕43.2~72.4)で、そのうち9人(18.8%)が完全奏効、19人(39.6%)が部分奏効であり、40%(P = 0.008)という事前定義した帰無仮説を棄却することで、本研究の主要評価項目を満たした。副次評価項目は、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間であった。奏効期間の中央値は未達で、無増悪生存期間の中央値は10.0カ月(95%CI 3.8~16.3)であった。全生存期間の中央値は未達で、12カ月全生存率は74.7%(95%CI 58.4~91.0)であった。最もよく認められた有害事象は感染(18.0%)、胃腸障害(13.0%)、血液学的毒性(11.4%)であった。これらのデータは、チスレリズマブとザヌブルチニブの併用によるチェックポイント阻害とBTK阻害の組み合わせが、RT患者に対する有効かつ忍容性のある治療戦略であることを示唆している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04271956。