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筋ジストロフィー:肢帯型筋ジストロフィー2E/R4型に対するbidridistrogene xeboparvovecによる遺伝子治療 ─ 第1/2相試験結果

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02730-9

肢帯型筋ジストロフィー2E/R4型の原因は、βサルコグリカン(SGCB)遺伝子の変異であり、この変異によりSGCBの欠損とそれによる筋力低下が引き起こされる。我々は、欠損したSGCBタンパク質の機能的置換に基づく遺伝子治療法を開発した。この論文では、遺伝子治療薬bidridistrogene xeboparvovecについて、安全性と有効性を評価するヒト初回投与(first-in-human)の非盲検非無作為化第1/2相試験を行い、その中間解析の結果を報告する。bidridistrogene xeboparvovecは、コドンを最適化したヒト完全長SGCB導入遺伝子を含むアデノ随伴ウイルスを用いた。SGCBの両対立遺伝子に変異が確認された4〜15歳の患者に、bidridistrogene xeboparvovecを1.85 × 1013ベクターゲノムコピー(vg) kg−1(コホート1、n = 3)、あるいは7.41 × 1013 vg kg−1(コホート2、n = 3)で単回静脈投与した。主要評価項目は安全性であり、副次評価項目は骨格筋におけるSGCB発現のベースラインから60日目までの変化とした。ここでは2年目の時点での中間解析の結果を報告する(試験は進行中)。最も頻度の高い治療関連有害事象は、嘔吐(患者6人中4人)とγ-グルタミルトランスペプチダーゼの上昇(6人中3人)だった。重篤な有害事象は、標準治療で解消された。SGCBのロバストな発現が観察され、60日目の時点での平均の正常SGCB発現率は、コホート1では36.2%(s.d. 2.7%)、コホート2では62.1%(s.d. 8.7%)だった。予備的段階で得られていた運動能力の改善は、肢帯型筋ジストロフィーに対するノース・スター肢帯型筋ジストロフィー評価(NSAD:North Star Assessment for Limb-girdle Type Muscular Dystrophies)を用いた探索的な事後解析により、2年間にわたって維持されたことが明らかになった。bidridistrogene xeboparvovecの2年目の時点での安全性と有効性は、臨床開発を進めることを支持することが分かった。この遺伝子治療の長期的な安全性と有効性の確認については、さらなる研究が必要である。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03652259。

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