Analysis
子どもの健康:小児および青少年における非感染性疾患とリスク因子に対する介入についてのエビデンス・ギャップ・マップ
Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02737-2
世界の小児および青少年の非感染性疾患(NCD)のうち、薬物乱用、肥満、メンタルヘルス疾患、1型糖尿病、がん、心血管疾患、慢性呼吸器疾患を合わせると、それらは障害調整生存年数の41%に関連している。しかし、この年齢層ではリスク因子と介入に関するエビデンス(科学的根拠)は乏しい。本研究では、4つのデータベースを検索し、これらのリスク因子とNCDに対する既存の介入とリサーチ・ギャップ(研究の未解明領域)に関するエビデンス・ギャップ・マップを作製した。マップの作製には159件のレビューと2611件の一次研究を使用した。これらの研究のほとんど(96.2%)は高所得国で実施されており、低・中所得国(LMIC)で行われた研究はわずか100件(3.8%)であった。NCDのバイオマーカーや有害事象に対する治療介入の有効性については、十分なエビデンスが存在すると考えられた。メンタルヘルス疾患に対する介入には中程度のエビデンスしかなく、肥満と薬物乱用に対する介入には中程度ないし非常に低いエビデンスしか存在しないと考えられた。今後の優先すべき研究領域としては、NCDの一次予防と管理を支援するデジタルヘルスプラットフォームの評価や、政策の変更が肥満や薬物乱用の有病率に及ぼす影響の評価などが挙げられる。我々の調査結果は、高所得国とLMICの間にはエビデンスに大きな格差があることを浮き彫りにしている。LMICにおけるリサーチ・ギャップに対処するために、的を絞った資金供与を増やすことが急務である。