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禁煙:たばこ規制枠組条約の批准171カ国における喫煙の減少

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02806-0

長期喫煙者の半数以上は関連疾患で死亡し、喫煙は世界中で年間約700万人の死亡をもたらしている。たばこの規制に関する世界保健機関の枠組条約(FCTC)は、喫煙の害に対抗するための主要な世界的政策戦略だが、その有効性は不透明である。本研究では、中国を除くFCTC批准170カ国において、25歳未満(喫煙を開始し、介入への反応が最も大きい時期)の喫煙者数と喫煙率、および45~59歳(禁煙がおそらく増加する時期)の禁煙率について、分割時系列解析によりFCTC批准前後の傾向を比較した。FCTC批准から10年後までの傾向を批准前の所得調整後の傾向と対比したところ、喫煙者数については累積で−15.5%(95%信頼区間 = −33.2~−0.7)の減少、25歳未満の喫煙率については−7.5%(95%信頼区間 = −10.6~−4.5)の減少が認められた。45~59歳の禁煙率(喫煙経験者数と喫煙者数の比)は、FCTC批准から10年後に1.8%(1.2~2.3)増加した。批准と同時に少なくとも10%のたばこ増税をした国では、そうでない国に比べ、3つのアウトカム全てについてより急速な変化が見られた。FCTCは批准170カ国の10年間で、若年喫煙者の2400万人の減少と、禁煙者の200万人の増加に結び付いた。

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