Nature Medicine 12月号において、損傷を受けた筋肉が1 個の幹細胞から再生できるという研究が2 つ発表された。骨髄の幹細胞は、血液細胞と免疫細胞を体にたえず補給している。最近の研究によって、骨髄幹細胞は骨格筋も再生できることが明らかにされたが、この知見には異論も出されていた。今回F M Rossi のグループとM A Goodell のグループが、実際に1 個の造血幹細胞の移植によって、筋肉の再生を行う細胞群が生じることをマウスで明らかにした。Goodell たちは、移植された幹細胞が炎症細胞を生産し、これが筋肉の損傷部位へと移動して筋細胞と融合することを示した。どちらのグループも、今回の発見がデュシェンヌ型筋ジストロフィーのような神経筋疾患の治療に将来役立つ見込みがあると述べているが、そのためには筋肉再生過程の効率を高めることが必要であろう。