Research Highlights

カーボンナノ構造体:カルビンの資質

Nature Nanotechnology 2013, 1113 doi: 10.1038/nnano.2013.247

カルビンは、炭素のみでできた線状ポリマーであり、興味深い力学的性質を持つと予測されている。通常の状態では、最も安定な形態は1つおきに単結合と三重結合でつながれた炭素でできている。今回ライス大学(米国)のB Yakobsonたちによって、カルビンの力学的性質について第一原理計算を用いた包括的研究が行われ、将来の実用化に貴重なものとなる可能性がある知見が得られた。

張力を受けると、カルビンは10 nNの力まで構造的健全性を維持できる。これは、グラフェン、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドを凌駕している。バンドギャップは、加えられた印張応力に依存し、10%の歪みで約80%増大する。このように感度が著しく高いことから、カルビンはオプトメカニカル用途や電気機械用途に魅力的な材料となるはずである。

軸対称性があるため、末端基によって化学的に修飾されている場合でしか、ねじれの下でのカルビンの力学的性質を決めることができない。その場合、バンドギャップはねじれ角の関数となり、90度に近い角度で、カルビンは磁性半導体となる。この性質は、スピントロニクスデバイスに利用できる可能性がある。

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