Research Highlights

プラズモニクス:グラフェンでギャップを埋める

Nature Nanotechnology 2013, 1113 doi: 10.1038/nnano.2013.248

プラズモニックナノ構造体を結合させると、強い局所的な光場が生じ、センサーや光検出器などのデバイスに利用できる。この結合を作り制御するには、ナノ構造体を互いから近い距離に配置する必要があり、典型的なギャップは数十ナノメートルである。ケンブリッジ大学、ノキア研究センター(いずれも英国ケンブリッジ)、材料物理研究センター(スペイン・サンセバスティアン)のJ Baumbergたちは今回、グラフェンを用いて、金ナノ球と金基板の間によく制御されたギャップを作った。

薄い金層とグラフェン単層で覆われたシリコン基板の上に、直径80 nmのナノ球が載せられた。この試料からの単一の粒子による散乱によって、スペクトルの二重項が明らかになった。これは、ナノ球の電荷と金層に生じた鏡像ナノ球のこれに等しいか正反対の電荷の間の電気分極に起因する双極子共鳴と、グラフェン層の近傍に局在するプラズモンモードという2つのモードの混合によるものと考えられる。グラフェン層を除去すると、ナノ球とその鏡像の結合に伴う1つのピークのみが残る。逆に、より多層のグラフェンを用いてギャップを作ると、ギャップに伴う1つのピークのみが残る。

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