Research Highlights

バイオエレクトロニクス:3Dプリンターで人工耳を作る

Nature Nanotechnology 2013, 613 doi: 10.1038/nnano.2013.112

生体組織と機能電子部品を組み合わせることで、天然の器官よりも優れた能力を持つバイオ人工器官を作ることができる。生体組織に適合する平面電子デバイスを用いた組織と電子部品の結合は既に行われており、そうしたデバイスを用いて、例えば、脳活動がマッピングされている。プリンストン大学とジョンズホプキンス大学(いずれも米国)のM McAlpineたちは今回、3Dプリンターを用いて人工耳を作り、この2つの概念を融合させている。

McAlpineたちは最初に、蝸牛の形をした電極に接続された集積円形コイルアンテナを持つ耳の図面を、コンピューター支援設計(CAD)で作成した。次に、軟骨細胞を分散させたアルギン酸塩ヒドロゲル基質を用いて、耳の形を作り、銀ナノ粒子を注入した導電性ポリマーを用いて、アンテナと電極を作った。この際、こうした材料が3Dプリンターに供給され、CADモデルの断面形状を用いて、人工耳を一層ずつ積み重ねて作っている。印刷した耳を軟骨細胞培地に浸すことで、ヒドロゲル基質中の軟骨細胞を用いて、ヒドロゲルの足場の形に軟骨組織を成長させることができる。

その結果得られた人工耳は、ラジオ周波数領域の電磁信号を感知でき、一対の耳は可聴周波数のステレオ音声を聞くことができる。

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