Research Highlights
蛍光温度測定:単一のスピンで温度を測る
Nature Nanotechnology 2013, 613 doi: 10.1038/nnano.2013.113
蛍光温度測定では、蛍光団が発する光の強度の変動をモニターすることで、温度が測られる。ダイヤモンドナノ結晶の窒素空孔(NV)中心は、炭素空孔と結合した窒素不純物からなる欠陥で、結晶が小さくダイヤモンドが比較的不活性なため、特に生物環境での蛍光測定に有望である 。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校、エームス研究所、シカゴ大学(いずれも米国)のD Awschalomたちは今回、NV中心に伴う電子スピンを用いて、これまでに達成された感度より7倍高い記録的な感度を実現している。NV中心のコヒーレンス時間が長いため、光パルスによる励起を通した電子スピン状態分布のコヒーレント制御が可能になる。その結果、温度に依存する周波数で蛍光強度の振動が起こる。
Awschalomたちは、この方法によって、10 mK Hz-1/2に近い感度を室温で実現できた。このことは、さまざまな生物学的状況において、この方法が有用である可能性を示唆している。