Research Highlights
磁性ナノ構造体:光を当ててスキルミオンを作る
Nature Nanotechnology 2013, 613 doi: 10.1038/nnano.2013.114
磁気スキルミオンは、トポロジカルに保護されたスピンナノ構造体であり、これを用いて、新しい種類の磁性情報記憶デバイスを作り出すことができる可能性がある。磁気スキルミオンを安定させるには、磁場を印加する必要があるが、そのために適用可能な用途が限られてしまう。ミラノ工科大学(イタリア)、ラドバウド大学(オランダ)、日本大学、東京大学のM Finazziたちは今回、単一の超高速光レーザーパルスを用いて、磁性薄膜にスキルミオンに似た磁場配位を生成できることを示している。
Finazziたちは、パルス幅が150 fsで波長が800 nmの単一レーザーパルスを用いて、厚さ20 nmのTbFeCo薄膜に単一スキルミオンを生成した。この磁性ナノ構造体は、ファラデー回転によって観測され、面外の磁化成分がマッピングされた。この構造体の横方向の寸法は数百ナノメートル程度であり、レーザーフルエンスを変えることで大きさを調整できる。レーザーフルエンスを高めると、環状の磁化配位などのより大きくかつ複雑な構造が生じる。これは、スキルミオンの中に反スキルミオンが入れ子状に収まっているものと考えられる。
薄膜に有限の一軸異方性が存在すると、外部磁場がなくても、この構造体は十分に安定化される。