Research Highlights

分子スイッチ:完璧な制御のための足場

Nature Nanotechnology 2013, 813 doi: 10.1038/nnano.2013.166

分子モーターは、その刺激–応答ユニットが協調して働けば、巨視的な影響を及ぼすことができる。しかし、こうした分子ユニットの制御は、多数の異なる配置と反応経路が、特に室温では可能になるため、簡単な課題ではない。デュイスブルク・エッセン大学(ドイツ)のG Haberhauerたちは今回、一般的な光応答ユニットであるアゾベンゼン誘導体が光に曝されたときに起こりうる、コンフォメーション変化の方向と型の両方を制御する方法を開発している。

アゾベンゼンは、窒素–窒素二重結合で結合された2つのベンゼン環からなる分子で、光を照射するとトランス–シス異性化を起こしうる。Haberhauerたちは、2本のフェニル基の垂直側腕を持つ環状イミダゾールペプチドからなる分子足場に、アゾベンゼンの2つのベンゼン環をこれらの側腕に結合させて、アゾベンゼンユニットを埋め込んだ。光を照射すると、窒素–窒素二重結合を中心とする動き(2つのフェニル環が互いの方へ向かって動くフリッピング過程)のみが起こり、1つの窒素原子を中心とした反転(1つのフェニル環がもう1つの前を横切る過程)は、足場があるため妨げられる。また、足場があるために、フリッピング運動も2つの可能な方向のうち1方向にしか起こらない。

このフリッピング過程は可逆的で、特定の条件下では連続的に起こりうる。Haberhauerたちは、これを鳥の羽ばたきになぞらえている。

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