Research Highlights
表面反応:強い衝突
Nature Nanotechnology 2014, 1014 doi: 10.1038/nnano.2014.242
粒子が触媒表面に当たると、表面と粒子の引力相互作用が影響するようになるため、ブラウン運動を用いた拡散の説明はもはや不可能になる。この種のふるまいは、壁近傍の束縛拡散と呼ばれ、粒子が表面の近傍に留まる時間をかなり延ばすことができるので、電子移動反応に特に重要であるが、この効果を調べるのはまだ難しい。オックスフォード大学(英国)のE KätelhönとR Comptonは今回、実験時の測定におけるこのふるまいの説明に役立つ可能性があるモデルを開発した。
KätelhönとComptonは、表面の上の空間を3つの領域に分けている。表面に最も近い層は、粒子が永続的に吸着されるところである。その上に、トンネル領域があり、この領域によって電子移動が生じうる距離が決まる。さらにその上に、非トンネル領域があり、この領域では、電気化学反応は起こらないが、粒子はまだ壁近傍の束縛拡散の状況にあると考えられ、単一測定のサンプリング時間内にトンネル領域に戻る可能性が高い。
粒子がトンネル領域に入るたびに、電極に微小電流が生成される。しかし、この微少電流の持続時間は、粒子のサイズと非トンネル領域の高さに依存して変化しうる。その結果、ほとんどの衝突は短すぎて実験的に検出できず、雑音の一因となるだけである。この貴重な情報を逃さないようにするために、ナノ粒子がバルクに戻る前にトンネル領域や非トンネル領域に留まる平均時間が、測定のサンプリングレートのオーダーになるように、物理化学的パラメーターを調節することを、KätelhönとComptonは提言している。