Research Highlights
ナノ鋳造:任意の形状と大きさのナノ粒子を作る
Nature Nanotechnology 2014, 1114 doi: 10.1038/nnano.2014.269
形状制御された無機ナノ構造体には、バイオセンシングからナノエレクトロニクスまで、多くの用途がある。こうしたナノ構造体を合成する方法は数多くあるが、任意の三次元規定形状を作るのは、まだかなり難しい。ハーバード大学、ハーバード大学医学系大学院、マサチューセッツ工科大学(いずれも米国)のP YinとM Batheたちは今回、DNAナノ構造体を鋳型として用いて、さまざまな三次元無機ナノ構造体を作成し、その形状と大きさを調節できることを示している。
YinとBatheたちは、コンピューター・ソフトウェアを用いて、適切な機械的剛性を持つDNA鋳型を設計した。この鋳型は、2層か3層の平行に並んだDNAヘリックスでできた壁4つと3層のDNAでできた蓋2つからなる直方体で、その空洞に単鎖DNAハンドルによって金属の「シード(種)」が取り付けられ、保持されている。特定の実験条件下で、金か銀でできた金属シードが成長し、空洞全体を満たす。その結果、鋳型の三次元形状が複製される。透過型電子顕微鏡の画像によって、金属ナノ粒子の成長後も、鋳型はナノ粒子を囲み続けていることが示されている。蓋が1つない鋳型では、ナノ粒子が空洞の外へ成長していたので、鋳型がナノ粒子を閉じ込める働きをすることが確かめられた。作成されたナノ粒子はプラズモン特性を示すので、バイオセンシングで利用できる可能性が示唆される。
ナノ粒子の形状と大きさは、それぞれ鋳型の形状と空洞の大きさを変えることで制御できた。さらに、さまざまな鋳型を組み合わせて、複合構造も作ることができた。