Research Highlights

グラフェン:MoS2の上はもっと良い

Nature Nanotechnology 2014, 1114 doi: 10.1038/nnano.2014.270

清浄なグラフェンには、高い電荷キャリア移動度などの電子物性があるため、次世代の情報処理デバイスにとって有望な材料になっている。しかし、グラフェンシートは基板の上で成長したり基板に移されたりするが、その基板との相互作用は、例えばキャリア移動度を低下させたり平均自由行程を減少させたりして、グラフェンの電子物性に悪影響を与えることが多い。これまで、六方晶窒化ホウ素が、デバイスにおいてグラフェンに固有の特性を維持するのに最も適した絶縁基板であると考えられてきた。その一方で、この2つの材料は格子定数の不整合が小さいため、モアレポテンシャルが生じ、グラフェンの電荷キャリアに影響を及ぼす。ラトガース大学(米国)、国立台湾大学、物質・材料研究機構(日本)のC–P Luたちは今回、MoS2が実際に基板のより優れた選択肢であることを報告している。

MoS2は、原子的に平坦で、グラフェンとの格子不整合が大きく、半導体である。Luたちは、剥離したMoS2シート上のグラフェンの特性を、走査型トンネル分光とランダウ準位分光によって調べ、MoS2基板では、グラフェンに固有の電子物性を維持でき、バンド構造に変化が生じないことを見いだした。さらに、電圧ゲーティングによってMoS2のフェルミ準位を変化させてグラフェン層の電荷遮蔽を調節し、平均自由行程をより長くできることも示した。

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