Research Highlights

ナノファブリケーション:ナノワイヤーを彫刻する

Nature Nanotechnology 2014, 114 doi: 10.1038/nnano.2013.304

半導体ナノワイヤーの電気的性質と光学的性質は、電子の一次元運動と本質的に結びついている。従って、成長時にナノワイヤーの直径を制御できれば、複雑なナノ構造体と目的に応じたデバイスの両方を作ることができる可能性がある。ノースカロライナ大学チャペルヒル校(米国)のJ Cahoonたちは今回、シリコンナノワイヤーの直径を調節し、10 nm程度の小さな形状を作成できる製造法を開発している。

Cahoonたちは、気相–液相–固相(VLS)メカニズムを用いて、リンをドープしたシリコンナノワイヤーを成長させた。これまでの研究で、リンのドープ濃度が、ナノワイヤーの成長速度とKOH溶液でのエッチング速度に影響を及ぼすことが分かっている。Cahoonたちは、こうしたリンドープ依存性を較正し、次に較正結果を用いて、リンの正確な含有量を予測した。これにより、極めて精密で複雑な構造体の設計が可能になる。この方法によって、蝶ネクタイを含むさまざまな形の構造体、ナノギャップ、断面積が周期的に変化するナノワイヤーを作ることができた(走査型電子顕微鏡画像を参照のこと)。

Cahoonたちは、この手法をENGRAVE(VLSとエッチングによる符号化されたナノワイヤーの成長と外観)と名付け、この手法を用いて、原理実証デバイスも2つ作った。1つ目は、ギャップのあるナノワイヤーをテンプレートとして用いて、精密な表面プラズモン共鳴を示す金属ナノ構造体が作られた。2つ目は、くびれのあるナノワイヤーを用いて、抵抗変化型メモリー素子が実証された。次のステップは、この手法をシリコン以外に拡張し、大規模なデバイスを実証することであると思われる。

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