Research Highlights
半導体ナノワイヤー:障壁の高さを測る
Nature Nanotechnology 2014, 114 doi: 10.1038/nnano.2013.306
電子デバイスにおける金属電極と半導体の電気的接触によって、電子の注入と抽出に対する障壁が作られる。この障壁の高さで、電子の移動の容易さが決まり、デバイスの性能が影響を受ける。障壁の高さは、電流電圧特性を分析して見積もることができる。しかし、半導体ナノワイヤーの場合は、デバイスの大きさが小さいために生じる複雑さによって、この方法の適用可能性が制限される。ノースウエスタン大学(米国)とテルアビブ大学(イスラエル)のL Lauhonたちは今回、金属接点とn型シリコンナノワイヤーの間の障壁の高さを、スペクトル分解走査型光電流顕微鏡法によって測定できることを示している。
Lauhonたちは、金属とナノワイヤーの接合部にサブバンドギャップ光を照射した。金属中の電子は、光励起され、内部光電子放出と呼ばれるプロセスでエネルギー障壁を越えることができる。こうして、光電流が生成され、顕微鏡によって収集される。従って、光励起エネルギーに対する光電流の依存性を分析して、障壁の高さを求めることができる。Lauhonたちは、金属とナノワイヤーの接合部の障壁の高さが、ドーピング効果と形状効果のために、金属とバルクシリコンの界面の場合と比べて低くなることを見いだしている。表面のドープ量を増やしたナノワイヤーやより直径の小さいナノワイヤーでは、障壁の高さが低くなったのである。この手法は、他のナノスケールのヘテロ接合の障壁の高さの評価にも利用できる可能性がある。