Research Highlights
分子間力分光法:カテナンのダイナミクス
Nature Nanotechnology 2014, 314 doi: 10.1038/nnano.2014.49
カテナンは、機械的に連結した分子で、構造的な柔軟性が高く、動的応答範囲が広いため、合成分子機械の開発において関心が寄せられている。しかし、系を大きく乱さずに単一分子の特性評価手法を適用することが難しいため、カテナンのサブ分子相互作用や動態を調べるのは困難である。ルーヴァン・カトリック大学、リエージュ大学(ともにベルギー)、マンチェスター大学(英国)のD Leigh、A-S Duwez、C-A Fustinたちは今回、単一分子間力分光法用いて、[2]カテナン分子における2つの巨大環の分子間ダイナミクスを調べうることを示している。
Fustinたちは、まず[2]カテナン分子の2つの巨大環それぞれにポリマー鎖を結合させた。ポリマー鎖の1つは表面に吸着し、もう1つは原子間力顕微鏡ティップによって持ち上げられた。次に、顕微鏡ティップを表面からゆっくりと離し、系の復元力を測定した。この復元力は、2つの巨大環の動きやすさと直接関連している。
Fustinたちは、さまざまな溶媒でこの測定を行うことで、カテナンの「固定した」環と「固定していない」環をこの手法によって識別できることを示している。非極性溶媒では、環の間の水素結合によって環の動きが抑制されるのに対して、極性溶媒では、環は自由に回転でき、エントロピー的に有利なコイル状配座をとるのである。