Research Highlights
準結晶:分子層が作る二次元準結晶
Nature Nanotechnology 2014, 414 doi: 10.1038/nnano.2014.75
準結晶は、長距離秩序はあるが周期性を持たない物質で、1822年にダニエル・シェヒトマンによって初めて観察されている。シェヒトマンは、この発見によって2011年にノーベル化学賞を授与された。この構造は、一般的にはAlCuMnなどの金属合金に見られるが、液晶、ナノ粒子集合体、ペロブスカイト薄膜などの、より珍しい系でも報告されている。今回2つの独立した研究チームが、表面の分子層から準結晶を生成するそれぞれ異なる方法を発見した。
ノートルダム大学(米国)のA Kandelたちは、金表面に吸着したフェロセンカルボン酸分子を用いて、自己集合二次元準結晶を作った。フェロセンカルボン酸分子のカルボキシル基が水素結合を形成し、この水素結合によって分子が環状五量体になる。この五量体によって、局所的な五回対称性はあるが周期性のない分子単層が形成される。こうした結果は、走査型トンネル顕微鏡(STM)で画像化された。
もう一方の、セントラルランカシャー大学、リバプール大学(いずれも英国)、東北大学のJ Smerdonたちは、三元金属合金準結晶の表面をテンプレートとして用いて、C60分子やペンタセン分子の準結晶層を成長させた。これらの分子は、表面の特定のサイトに優先的に吸着し、下にある基板の構造を反映した分子層が作られる。結果として生じた準結晶層もまた、STMで画像化された。