Research Highlights
ナノ粒子:膨張するブロック共重合体
Nature Nanotechnology 2014, 514 doi: 10.1038/nnano.2014.96
無機ナノ粒子については、形状と特性の関係は比較的よく分かっている。ポリマーナノ粒子にはこれは当てはまらず、そうした材料の形状の制御すら十分にできない。カリフォルニア大学サンタバーバラ校(米国)、メルボルン大学(オーストラリア)、米陸軍エッジウッド化学生物センターのC Hawkerたちは今回、外部刺激に応答して形状を可逆的に変えることができるブロック共重合体ナノ粒子を報告している。
Hawkerたちはまず、ブロック共重合体ポリスチレン–b–ポリ(2–ビニルピリジン)(PS–b–P2VP)でできた球状のポリマーナノ粒子を合成した。この共重合体の2つの相が分離して同心円状の層が形成され、さらに、片方の相よりももう片方の相となじみやすい界面活性剤を加えることで、外側の層を選択できる。界面活性剤を混ぜて使うと、中間的な状態が実現される。つまり、このナノ粒子は、楕円体になり、各層はラメラ状に分離する。
Hawkerたちは、この系に刺激応答性を導入するために、2VP相の酸塩基特性を利用した。低pHでは、2VPはプロトン化して最初の体積の2倍以上に膨張し、ナノ粒子全体の形状とアスペクト比の両方が大きく変化する。膨張によってナノ粒子が壊れないようにするために、架橋剤が加えられた。この形状変化は可逆的で、pH値を高くすると元の形状に戻る。