Research Highlights
結晶成長:湾曲した金単結晶
Nature Nanotechnology 2014, 514 doi: 10.1038/nnano.2014.98
生物学的過程で作られる結晶は、複雑な形状と構造を示すことが多く、ファセット表面ではなく湾曲した表面を持つことがある。こうした過程を模倣することで、自然界でも用いられているセラミック材料(例えば炭酸カルシウム)から、さまざまな形状の単結晶が作られている。しかし、金属のような機能材料で同様の形状を実現することは、まだ困難である。テクニオン・イスラエル工科大学、ヨーロッパ放射光施設(フランス)、ゲント大学(ベルギー)のB Pokroyたちは今回、湾曲した表面を持つ金単結晶を成長させうることを示している。
Pokroyたちはまず、金層とゲルマニウム層を酸化シリコンウェハーに蒸着して、金–ゲルマニウム共晶薄膜を作った。次に、この試料をアニールすると、デウェッティング過程を通して、金–ゲルマニウム液滴が形成された。その後、こうした液滴の内部に閉じ込められて成長過程が生じ、液滴の形状を模写する金結晶が作られた。この湾曲した金結晶が実際に単結晶であることを立証するために、集束イオンビームを用いてこの液滴の薄い断面を作り、電子顕微鏡法とさまざまな回折法によって調べた。
Pokroyたちは、液滴の形状、例えば単結晶の曲率を、アニーリング処理時の環境中の酸素分圧などのパラメーターを調整して制御できることも示している。