Research Highlights

分子輸送:ミオシンが引っかき回す

Nature Nanotechnology 2014, 714 doi: 10.1038/nnano.2014.145

細胞内の分子は複雑なパターンをたどって移動し、さまざまな時間スケールの範囲でさまざまなパターンが見られる。つまり、短い時間スケールではブラウン運動的ゆらぎが一般的であるのに対して、長い時間スケールでは方向性運動が優位になる。ゲッティンゲン大学(ドイツ)、ライス大学(米国)、アムステルダム自由大学(オランダ)のF MacKintoshとC Schmidtたちは今回、5桁の時間範囲にわたる細胞内ダイナミクスを調べ、分子輸送の中間領域を突き止めたことを報告している。

Schmidtたちは、微小管のトラックに沿って動く分子モーターであるキネシンタンパク質の動きを、このタンパク質に結合させたカーボンナノチューブが放射する蛍光信号をマッピングして、追跡した。この蛍光信号を、1秒あたり4フレームという中間的な速度で取得することで、熱拡散と方向性モーター活動に加えて、微小管に付着したまま活発なランダム運動をキネシンが示すことが明らかになった。

Schmidtたちは、今回の発見はキネシンのチューブリントラックを間接的に激しく揺り動かすミオシンタンパク質の活動に起因すると考えている。チューブリンは強い繊維を作り、この繊維がより柔軟なアクチン繊維のネットワーク埋め込まれている。ミオシンは、このアクチンネットワークに機械的応力をかける。次に、この応力が、微小管を含む繊維ネットワーク全体のランダムな揺動の形で解放される。このランダムな揺動が、キネシンの方向性運動とは独立に、中間的な時間スケールでの分子輸送を強化するのである。

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