Research Highlights

ナノフォトニクス:遺伝学的研究法

Nature Nanotechnology 2014, 814 doi: 10.1038/nnano.2014.174

フォトニック結晶共振器は、数百nm3という小さな体積に特定の周波数の光を閉じ込めることができる。こうした人工構造体では、光と物質の極めて強い結合を実現できるため、フォトニック結晶共振器はフォトニック回路に不可欠な要素となる可能性がある。しかし、フォトニック結晶共振器のQ値を最適化することが重要である。Q値とは、閉じ込められた光の周波数をどの程度精密に決定できるかを示す尺度だ。ロチェスター大学(米国)、パビア大学(イタリア)、ローザンヌ工科大学(スイス)のA Badolatoたちは今回、Q値を最適化したフォトニック結晶共振器を設計する方法を見いだした。

フォトニック結晶は、周期的に配列した孔が開いた半導体スラブである。この周期的な配列の中から1つ以上の孔が欠けているフォトニック結晶を作って、光を捕捉する小領域を残すことによって、フォトニック共振器ができる。この共振器を囲む孔の大きさと位置を変えることで、Q値を向上できる。こうした幾何学的パラメーターをどのように変えるべきかについては、過去の取り組みは、経験に裏付けられた推測に主に基づいていた。Badolatoたちは、その代わりとして、遺伝進化に似た連続的最適化過程によって、候補集団からQ値が最も高い構造体を見つけることができる手順を用いている。今回の方法で得られた設計を用いて、これまで報告されたものより1桁高いQ値を示すシリコンフォトニック結晶共振器が作製された。

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