Research Highlights

診断法:より優れた紙ベースアッセイ

Nature Nanotechnology 2014, 914 doi: 10.1038/nnano.2014.204

紙ベースアッセイは、安価で製造と廃棄が容易にできるため都合がよい。さらに、生体試料との相性もよい。紙がぬれている間にこうしたアッセイの検体を濃縮し移動させる方法はいくつもあるが、こうした方法のほとんどは、受動的な毛細管現象に依存している。これは、通常はぬらした後に検体をさらに操作できないということである。トロント大学とオンタリオ工科大学(いずれもカナダ)のD Sintonたちは今回、ナノ多孔膜を組み込み、イオン濃度分極(ICP)を利用して、十分にぬれた紙ベースアッセイにおいて検体を濃縮し移動できること示している。

Sintonたちは、2種類のデバイスを開発した。そのうちの1つは、ナノ多孔膜を埋め込んだシリコーンゴム層とバッファー槽を含むポリメタクリル酸メチル樹脂層のアセンブリーからなる、スタンプのような外部デバイスである。機能させるには、この外部デバイスを紙ベースアッセイの上に置き、バッファー槽をバッファーで満たして電圧をかける。すると、ナノ多孔膜と紙の界面でICPが起こる。もう1つのデバイスでは、ナノ多孔性材料のパターンを直接紙ベースアッセイに作り、多孔性材料がバッファー槽とチャネルの境界を決める疎水性障壁となって、ICPに必要なマイクロ/ナノ界面を形成する。Sintonたちは、この外部デバイスによって色素が効率的に濃縮され、センチメートル単位の距離にわたって一方向に輸送されることを見いだした。2番目のデバイスをタンパク質や色素の濃縮に用いると、紙ベースアッセイの検出限界が向上した。

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