Research Highlights
ナノ結晶超格子:アドホックな置換
Nature Nanotechnology 2015, 1015 doi: 10.1038/nnano.2015.234
置換ドーピングは、半導体技術で広く使われている手法であり、結晶中の原子を少量の異なる原子でランダムに置き換えることである。ドーピング原子は、容易にイオン化されて、半導体に余剰電荷を供給し、電気伝導度を高める。ペンシルベニア大学、スタンフォード大学、国立標準技術研究所(いずれも米国)のC Murrayたちは今回、ナノ結晶超格子と呼ばれる物質に同様のプロセスを適用できることを示している。
半導体ナノ結晶では、電子エネルギー準位が原子と似ているため、原理的には、さまざまなサイズと組成のナノ結晶を集合させて超格子を作り、望み通りの特性を一式持つ人工物を作ることができる。Murrayたちは、超格子を作る際に、CdSeナノ結晶またはPbSeナノ結晶と金ナノ粒子を混ぜることで、金ナノ粒子が超格子に組み込まれ、半導体ナノ結晶を置換してランダムに分散することを見いだした。金ナノ粒子の部分を増やすと、電気伝導度が高まる。しかし、標準的な半導体結晶の場合のようにイオン化によって余剰電荷を供給するのではなく、金ナノ粒子はパーコレーション伝導経路をいくつか形成し、その正味の影響によって高速電荷輸送が可能になる。