Research Highlights

単一分子:DNAのピエゾ抵抗効果

Nature Nanotechnology 2015, 1015 doi: 10.1038/nnano.2015.237

DNAは、天然のポリマーで、複雑なナノ構造体を作るための多目的材料となっている。DNAのコンダクタンスもかねてから魅力的な主題であったが、一連の結果が相反していたため、DNAを用いたナノエレクトロニクスを開発するという考えは広まらなかった。アリゾナ州立大学とノースウェスタン大学(いずれも米国)のN Taoたちは今回、DNAの単一分子がピエゾ抵抗効果を示すことを明らかにした。この結果から、DNAの電荷輸送に関する問題を解くためのさらなる手掛かりが得られる。

ピエゾ抵抗効果とは、力学的な力によって物質の電気抵抗が変化することで、2つの電極の間にある単一の(DNAではない)分子で既に観測されている。そうした場合では、ピエゾ抵抗効果は分子と電極の結合に起因することが多い。Taoたちは、配列と長さがさまざまな単一の二本鎖DNA分子の分子コンダクタンスとピエゾ抵抗効果を、金表面と走査型トンネル顕微鏡ティップの間にDNA分子を置いて調べた。彼らは、観測されたピエゾ抵抗効果がDNA分子に固有の特性であり、隣接する塩基間のππ結合における力によって生じた変化と、正孔ホッピングの活性化エネルギーの変化に起因することを、計算を用いて確定することができた。

Taoたちは、微小電気機械システム(MEMS)の応用法の開発においてDNAナノ構造体が有用である可能性を、観測されたピエゾ抵抗効果が示していることも示唆している。

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