Research Highlights

造影剤:はじけないナノバブル

Nature Nanotechnology 2015, 1115 doi: 10.1038/nnano.2015.271

マイクロバブルは、一般的に脂質かタンパク質のシェルでできていて、コアに空気やペルフルオロカーボンを含んでおり、体の軟組織とは超音波の反射の仕方が異なるため、超音波イメージングの造影剤として役立つ。より小さな毛細血管網に浸透でき、より広く適用できる可能性があるため、最近ナノバブルへの関心が増している。しかし、安定したナノバブルを作るのは難しい。今回、クイーンズ大学(カナダ)のG Liuたちは、シェルの内側を疎水性の高いフッ素化ポリマーで覆うことで、エコーを発生する安定した空気ナノバブルを作成できることを示している。

綿織物のペルフッ素化コーティングの撥水性に着想を得て、Liuたちは、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸2–シンナモイルオキシエチル)、ポリ(メタクリル酸2–ペルフルオロオクチルエチル)からなるトリブロックポリマーを用いて、ナノバブルを作った。対照標準として、ポリ(アクリル酸)をポリ(グリセリルモノメタクリレート)で、ポリ(メタクリル酸2–シンナモイルオキシエチル)をポリ(アクリル酸tert–ブチル)で置き換えたよく似たポリマーが作られた。こうしたポリマーを、水かヒト血液で満たしたチューブに注入すると、超音波によってフッ素化ナノバブルを検出できた。追加実験によって、こうしたナノバブルのエコー輝度が、空洞に閉じ込められた空気に起因することが分かった。4時間寝かせたナノバブルと3週間寝かせたナノバブルは、強いエコー輝度を維持していた。さらに、信号が減衰するまでの平均寿命は、市販のマイクロバブルより100倍長かった。透過電子顕微鏡法によって、超音波処理したナノバブルが構造的完全性を維持していることが示され、空気が水によって置換されていないことが確かめられた。

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