Research Highlights
有機無機ペロブスカイト:ペロブスカイトの二次元シート
Nature Nanotechnology 2015, 1115 doi: 10.1038/nnano.2015.272
CH3NH3PbI3などのハイブリッド有機無機ペロブスカイトは、太陽光発電用として可能性があるため近年大きく注目されている半導体材料である。この材料を用いて、溶液処理でデバイスを作成できる。そうしたデバイスの性能は急速に向上しており、ペロブスカイト太陽電池では20%を超える電力変換効率が得られるようになっている。カリフォルニア大学バークレー校、ローレンス・バークレー国立研究所(いずれも米国)、上海科技大学(中国)のP Yangたちは今回、こうした層状材料を成長させて原子層レベルの厚さの二次元シートを作成できることを示している。
Yangたちは、薄めた前駆体溶液をシリカ表面に滴下し、穏やかに加熱して、ハイブリッドペロブスカイト(C4H9NH3)2PbBr4のシートを合成した。この方法によって、形状が明確に正方形で、厚さが単一単位格子か数単位格子のマイクロメートルサイズの結晶が作られた。この物質を詳しく分析すると、構造緩和を示し、バルク材料と比べてバンドギャップが変化することが明らかになった。さらに、この二次元結晶は、シートの厚さや組成を変えることによって波長を調整できる可能性がある青色のフォトルミネセンスも示す。