Research Highlights

シリコンフォトニクス:光を回転させるベリー位相

Nature Nanotechnology 2015, 115 doi: 10.1038/nnano.2014.331

ハイブリッド電子–光システムにおける光の偏光の電気的制御は、偏光を動的に回転できる可能性があるため魅力的である。しかし、こうした制御をオンチップの平面構造体で実現するのは難しい。オハイオ州立大学のR Reanoたちは今回、シリコンオンインシュレーター・フォトニックチップにおいて、電気的手段によって光の偏光の回転を動的に調節できることを示している。

この回転は、ベリー位相に影響を与えることによって実現される。ベリー位相は、幾何学的起源の位相で、運動量空間の閉じた経路に沿って移動する光によって得られる。運動量空間においてゼロでないベリー位相を獲得するには、面外部分を持つ三次元導波路に光を移動させる。実空間における面外部分の偏向角によって、ベリー位相が決まり、さらに偏光の回転角が決まるのである。Reanoたちは、シリコン–二酸化シリコンチップに面外導波路を作成した。この導波路では、マイクロヒーターを電気的に制御して光と導波路の結合を調節することで、偏光の回転の動的な調節が可能になる。TEモードからTMモードへのほぼ完全な偏光の回転が、ヒーターを通る電力の関数として実証されている。

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