Research Highlights

磁性ナノ粒子:自己組織化の限界

Nature Nanotechnology 2015, 1215 doi: 10.1038/nnano.2015.296

自己組織化は、ナノテクノロジーにおける重要な概念であり、さまざまな形で現れる。外部磁場の存在下で、磁性ナノ粒子の自発的な組織化を起こさせる方法がある。しかし、この方法には、ナノ粒子が小さくなってその磁気モーメントが減少すると現れるサイズの限界がある。バイロイト大学、デュースブルク・エッセン大学(いずれもドイツ)、ヨーロッパ放射光施設(フランス)のI RehbergとS Försterたちは今回、このサイズ限界にあるナノ粒子が溶液中で自己組織化して、一次元、二次元、三次元の規則的な構造体を形成しうることを示している。

Försterたちは、オレイン酸によって安定化された、直径が15 nm未満の球状と立方体状の酸化鉄ナノ粒子を調べた。球状のナノ粒子は、磁場の存在下で規則的な構造体を形成しなかったが、立方体状のナノ粒子は、集合して鎖、単層シート、大きな直方体を作り、それら全ての内部秩序はほぼ完璧であった。こうした集合体が作られるのは、ナノ粒子の磁気双極子が磁場に沿って整列し、引力相互作用が生じてナノ粒子を密接に接触させるためである。次に、短距離ファン・デル・ワールス相互作用によって、ナノ粒子の面と面が向かい合って規則的に付着し、磁場を除去した後も安定した構造体が作られた。球状のナノ粒子では、短距離引力相互作用がずっと弱いため、集合体が安定化されないと考えられる。

さらに、Försterたちは、7.5 nm未満の立方体状のナノ粒子は、集合体を形成できないことも示している。

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