Research Highlights

プラズモニクス:グラフェンをしわくちゃにする

Nature Nanotechnology 2015, 1215 doi: 10.1038/nnano.2015.298

表面増強ラマン分光法(SERS)では、金属表面に近接して分子を配置することでラマン散乱が強く増幅される。表面を粗くすることは、SERS感度を向上させる最も簡単な方法であると一般的に考えられているが、金属ナノ粒子で基板を装飾したり、金属ナノ粒子とグラフェンからなる二次元ハイブリッド構造体を用いたりするなど、さまざまなより精密な方法も探究されている。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(米国)のS-W Namたちは今回、そうしたグラフェン構造体の次元性をただ変えるだけで、SERS増強を実現できることを示している。

Namたちは、まず金ナノ粒子で装飾したグラフェン膜を作り、加熱すると縮むポリマー基板上に移した。こうすることで、しわの寄ったグラフェン–ナノ粒子ハイブリッド構造体を作成できるようになる。こうしてできた三次元グラフェン構造体は、さまざまな任意の形の曲面に移すことができる。このしわの寄った基板によって、類似した二次元ハイブリッド系に比べて1桁強いラマン信号が得られる。Namたちは、ナノ粒子のサイズと間隔を調節することで、さらなる増強を実現できる可能性があることも示唆している。

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