Research Highlights
二次元材料:画像の記憶
Nature Nanotechnology 2015, 215 doi: 10.1038/nnano.2015.14
グラフェンや遷移金属ジカルコゲニドなどの二次元材料は、柔軟で光学特性や電気特性に汎用性があるため、電子デバイスや光電子デバイス用に広く研究されている。今回、ライス大学と蘭州大学のA George、L Ge、P Ajayanたちは、数層のCuIn7Se11でできた画像センサーを作って、既存の光電子デバイスのプールに加えた。
このデバイスでは、入射光によって、CuIn7Se11でできた半導体チャネルに光電子が励起される。ゲートに正電圧を印加すると、金属のソース電極およびドレイン電極とこの二次元材料の接触面のショットキー障壁が形成したポテンシャル井戸によって、チャネル内に電子が閉じ込められる。閉じ込められた電荷の量は、照射された光量に比例する。これは、従来の電荷結合デバイス画像センサーに類似している。光励起に関する情報は、ソース–ドレイン間に負電圧を印加し、閉じ込められた電子が解放され、記憶された情報を読むことができるようになるまで維持される。
この種の個々のデバイスは、画像を捉え記憶できるメモリーアレイの画素となる可能性があり、著者たちは3画素のアレイを実証している。さらに彼らは、数層のInSeと単層のMoS2でセンサーを作り、この方法の普遍性も例証した。二次元材料は柔軟であるため、フレキシブルエレクトロニクスに応用したり、二次元電子デバイスと集積する必要があったりする場合には、こうしたセンサーが従来の画像センサーより有利になる。